
「流山・空き家を生まないプロジェクト」は、千葉県流山市を拠点に、空き家の発生を未然に防ぐための啓発活動や地域連携を行う団体です。住まいや不動産に関する情報提供を通じて、空き家問題の根本的な解決を目指しています。地域の専門家や行政とも連携し、流山市の安心・安全なまちづくりに貢献しています。 詳しくは 公式サイト をご覧ください。
ここは、動物たちが暮らす「にゃんがれやま市」。にゃんママが経営する「にゃんカフェ」は動物たちの憩いの場所。今日は、にゃんママがとら吉さんに紹介したい人(動?)物がいるようです。

にゃんママ:とら吉さん、待っていたのよ!友人のアルさんとさーちゃんを紹介するわ!
とら吉:アルさんとさーちゃん…?初めまして。
アルさん:とら吉さん、にゃんママから噂は聞いているよ!これからよろしくね。
さーちゃん:私もよろしく~♪
にゃんママ:先日、ご実家の話したじゃない?アルさんは、ご両親が持っていた賃貸マンションの経営をしているの。家族信託を使っているんだって。さーちゃんは実家の一軒家を生前贈与。とら吉さん、興味あるでしょ?
とら吉:助かる~!ちょうど実家をどうするか両親と話している最中なんだよ。ぜひ参考にさせて!
にゃんママ:ご両親、引っ越すことにしたの?
とら吉:今すぐじゃないけど、施設に入りたいんだって。ただ、空き家になっちゃうと、近所にも迷惑がかかるから、事前に対処しないとね。売ることしかイメージができないから、他の方法を知りたい!
にゃんママ:なるほど。せっかくだから色々聞いてみたら?
とら吉:ありがとう!まず、どうして2人は家族信託や生前贈与にしたの?
アルさん:私の場合は、両親の認知症対策。もともと父が運営していた賃貸マンションなんだけど、両親も体力に不安があるみたいで、管理が大変らしいの。それと、両親の生活費は家賃収入がメインだから、お金は渡したいのよね
さーちゃん:わかるー!私も親の認知症が不安。親はいらないって言うから、家を売るのも考えたんだ。だから、とら吉さんが売りたいっていうのもわかるよ。だけど、もしかしたら将来、私が実家に戻るかもしれないから、贈与してもらって今はファミリー層に貸し出しているんだ。
とら吉:2人ともご両親の認知症が心配なんだね。認知症になると何か問題なの?
にゃんママ:とら吉さんは知らないようね。認知症対策の大切さを!
認知症になると何が困る?
認知症を発症すると、認知症発症者の口座が凍結されたり、契約などができなくなったりする場合があります。認知症の進み具合などで判断されるため一概には言えませんが、このような状況になると、次のような影響が出る可能性があります。
認知症発症による影響の一例
・銀行口座凍結により、預金の引き出しや自動引き落としなどができなくなる
・不動産などの財産を売却できなくなる
・リフォームや引っ越しなどの契約が難しくなる
その結果、施設入居や実家のリフォームなど、本人の意思確認が必要な契約ができなくなったり、財産の活用ができなくなったりする可能性があります。
これらの対策として、家族信託や後見のような、財産の管理を任せられる制度を使うことが有効です。なお、生前贈与は贈与受けた人のものになるので、元の持ち主の状況は影響がありません。ただし、家族信託も後見も生前贈与も契約に基づくため、財産の元の持ち主が元気なうちに行う必要があります。
とら吉:親が認知症になると大変なんだね。
にゃんママ:だから、早めの対策が大事なの。
とら吉:なるほど~。あとは…、アルさんは両親の生活費にしたいって言ってたっけ?どういうこと?
アルさん:家族信託は資産の管理者と利益を受け取る人を決められるの。関係者の契約で決められるから、便利なのよ。
とら吉:契約?便利?
アルさん:そう。例えば、不動産の管理や運用は私、収入は他の人が受け取るということができるの。今は父が収入を受け取っているけど、もし、父が先に亡くなったら母が収入を受け取る契約にしたの。
生前贈与は、個人の財産を他の人に贈ることなので、受け取った財産は自由に扱うことができます。一方、家族信託は、財産の管理・運用・処分を特定の人に任せるしくみです。

家族信託には、委託者・受託者・受益者という3種類の役割があります。委託者は財産の元の持ち主・受託者は財産の管理をする人・受益者は財産からの利益を受け取る人です。なお、委託者と受益者は同じ人でも問題ありません。今回の記事の場合は、委託者と受益者がアルさんの父、受託者がアルさんです。
受託者は、受益者が多くの利益を受けられるよう努めなければなりません。なお、受託者が報酬を受け取れるような契約を結ぶことも可能です。
とら吉:ふむふむ…。家族信託は、資産の管理をしっかりした人に任せるしくみ、ということかな?さーちゃん、生前贈与は受け取った人のものになるんだよね?
さーちゃん:そうだよー。だから、管理は私がするし、収入も私に入ってくるよ。アルさんは家賃収入から全然お金が入らないの?
アルさん:実は、少しだけ信託報酬を受け取っているの。
とら吉:使い方に大きな違いがあるみたいだね。どうしたらいいんだろう…?
にゃんママ:一旦、家族信託と生前贈与の特徴を整理してみましょう。必要な手続きも、ざっくりとまとめておくね。
生前贈与は対象の財産の権利をすべて引き渡すしくみ、家族信託は管理や運用面のみ引き渡すしくみです。税制面ではさらに細かい違いがありますが、財産の権利面の大きな違いは次のようになります。
表1 生前贈与と家族信託の権利者などの比較

とら吉:財産を受け取った人に自由に使ってほしい場合は生前贈与、継続的に特定の人に収入を渡したい人は家族信託がいいのかな?家を売ると、収入が入るのは1回だよね?両親の生活費が足りるかどうか、足りない場合は、継続的に渡した方がいいのかを確認してこよう!
にゃんママ:待って!生前贈与と家族信託の注意点も確認しなきゃ!
とら吉:注意点?そうだよね、いいところだけじゃないよね?
にゃんママ:次回、注意点もしっかり聞きましょうね♪
執筆者 FPサテライト株式会社 黒川一美
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本コンテンツは、配信日(2025年4月7日)時点の情報をベースにしています。本コンテンツは、行政との提携や専門家による内容についてのレビューを受けたものではありません。ご自身の判断により、参考情報としてご利用ください。
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